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東京高等裁判所 昭和56年(行ケ)107号 判決

一 請求の原因一及び二の各事実(特許庁における手続の経緯及び審決の理由の要点)並びに同三のうち越前屋が原告主張の経緯で本件商標につき通常使用権を取得したことは、当事者間に争いがない。

二 そして、右争いのない事実によれば、越前屋は原告主張のとおりの通常使用権を有していたものということができるから、右通常使用権の立証がないとした審決には、結局、事実の認定につき誤りがあるといわなければならず、前記審決の理由に照せば、右事実誤認が審決の結論に影響を及ぼすべきものであることは明らかであるから、審決は、違法としてこれを取り消さなければならない。

三 よつて、審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を正当として認容する。

〔編註〕 本件における事実関係は左のとおりである。

第二 原告主張の請求の原因

一 特許庁における手続の経緯

訴外株式会社越前屋(以下「越前屋」という。)は、昭和四五年一一月一〇日、特許庁に対し、「PENTHOUSE」の欧文字を左横書きして成る商標(以下「本件商標」という。)について、第二六類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として商標登録出願をし、昭和四七年一二月二七日、登録第九九三〇五三号商標としてその設定登録を受けた。原告は、昭和四九年八月二三日越前屋より本件商標の商標権の譲渡を受け、昭和五一年四月二三日その登録を受けた。被告は、同年一月二四日、特許庁に対し、「登録第九九三〇五三号商標の登録は、その指定商品中『雑誌、その他の印刷物』について、これを取り消す。」との審判の申立をした。特許庁は、これを同庁同年審判第一〇七三号事件として審理の上、昭和五六年三月九日、右申立のとおりの審決をし、その審決謄本は、同月二三日原告に送達された。

二 審決の理由の要点

本件商標の構成、指定商品及びその商標権設定登録に至る経緯は、前項記載のとおりである。

ところで、本件審判請求は、商標権者である被請求人(原告)及び本件商標の専用使用権者である訴外大沢総業株式会社(以下「大沢総業」という。)が、本件商標を、日本国内において、その指定商品の一部である「雑誌その他の印刷物」について継続して三年以上使用していないことを理由に、本件商標につき、その指定商品中「雑誌、その他の印刷物」に係る商標登録を取り消すべきことを求めるものであるところ、商標法第五〇条による商標登録取消の審判請求があつた場合には、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該登録商標を使用していることを証明しない限り、その取消を免れないことは、同条第二項により明らかである。

そこで、本件審判請求についてみるに、本件商標の商標権は、越前屋を商標権者として昭和四七年一二月二七日に設定登録されたものであるが、その後、契約により大沢総業を使用権者とする使用範囲を全部とした専用使用権が昭和五〇年八月二八日に設定登録され、さらに、該商標権につき被請求人に譲渡による移転登録が昭和五一年四月二三日にされている事実は明らかである。被請求人は、前商標権者である越前屋が専用使用権者である大沢総業より専用使用権の設定契約と同時に通常使用権の許諾を受けていると主張するが、右主張事実については何らの立証もないばかりでなく、商標登録原簿にも通常使用権の登録がない。

そうすると、被請求人が本件商標の使用事実を立証するために提出した証拠がいずれも越前屋の使用に係るものである本件においては、本件商標がその指定商品に使用されていたとは認められない。

したがつて、本件商標は、継続して三年以上日本国内において使用されていなかつたものといわざるをえず、かつ、使用されなかつたことについて正当な理由があつたものとも認め難いから、商標法第五〇条の規定により、その指定商品中「雑誌その他の印刷物」について、その登録を取り消すべきものとする。

三 審決を取り消すべき事由

審決は、越前屋が大沢総業より通常使用権の許諾を受けた事実の立証がないことを前提として、本件商標の指定商品の一部について商標登録を取り消すべきものとしているが、本件商標の商標権者であつた越前屋は、昭和五〇年五月二二日、大沢総業に対し本件商標につき範囲全部の専用使用権を設定する契約をすると同時に、大沢総業から本件商標につき指定商品を「雑誌」に限定するほか範囲全部の通常使用権の許諾を受け、右専用使用権が設定登録された同年八月二八日には、本件商標につき右範囲の通常使用権を取得したものであるから、審決は、右通常使用権の存否につき事実を誤認したものであり、その誤認が結論に影響を及ぼすべきものであることは明らかであるから、違法として取消を免れない。

第三 請求の原因に対する被告の認否

請求の原因一及び二の各事実並びに同三のうち越前屋が原告主張の経緯で本件商標につき通常使用権を取得したことは認めるが、その余は争う。

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